煙
もう長袖でいないと寒いなと思いながら、1人でタバコをふかす。
あの頃はタバコなんが吸わなかった。
頭が痛いのにタバコ吸わないといられないなんて、ニコチン依存症は怖いもんだな。
お気に入りのオレンジの制服用セーターは母が買ってくれたものだった。
派手だったけど、母とは色々あって、物なんて買ってくれる事ほぼなかったから、嬉しくて1番お気に入りだった。
そんなセーターの袖に腕を通す季節。
特に思い入れのある季節ではないけれど、思い出す事は沢山ある。
彼氏でもない男の子のセーターの色をわざわざ選びに行った日。
寒かったから、一緒にコンビニのおでんを道端に座って食べた。
次の日彼が学校にそれを着てきた時は、少し嬉しかったのを覚えてる。
(ただそれが原因で当時の彼氏と喧嘩をした気が、する笑)
夜のスタジオの前に食べる肉まんは、いつからか恒例で、今もあの駅にいると食べたくなる。
憧れの先輩と横浜から桜木町まで歩いた事。手も繋がなかったけど、一生忘れないだろうな。
部活のみんなで文化祭の片付けさぼって、1週間落ち葉掃除をさせたれた事とか、
初めて車でサファリパークに行った時は友達カップルの目の敵にされたなとか、
急に取れた連休に、急いで準備して旅行に行って、お金も無くて携帯も壊れたなとか。
それが全ていい思い出になってるのは、私が大人になったからなんだろうな。
その思い出がなければ、私は今ここにいないな。
秋の夜は寂しくなるから嫌いだと昔から思っていた。
今もそれは変わらない。
そんな時にいつも連絡したくなる人はいつだって1人だけだ。
でもそんなに頼りすぎても都合が良すぎるだろう。
人肌が恋しいわけではない。
誰でもいいわけじゃない。
でも今はきっと通じ合える時ではない。
秋の夜は長いから、寒い中散歩でもしておしゃべりできたらな。
誰かに電話してみようと、外に出る勇気があればな。
洗い物しながら、何もないのに涙を流す私を、心配そうに見つめる子がいるから無理か。(笑)
一歩外へ出られれば。
いつでも行きたいところは決まっているのに。
2人で寝るダブルベッドは狭くて嫌い。
1人で寝るダブルベッドは広くて寒いんだ。